第5回有識者会議(2023年4月10日)

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第5回)

 法務省 出入国在留管理庁HPより抜粋

 

 

議事要旨

 

日時

令和5年4月10日(月)10:00~11:40 

 

場所

法務省7階共用会議室

 

出席者(敬称略)

有識者

田中座長、高橋座長代理、市川委員、大下委員、黒谷委員、是川委員、佐久間委員、末松委員、鈴木委員(代理出席)、武石委員、冨田委員、冨高委員、樋口委員、堀内委員、山川委員

 

関係省庁等 (内閣官房)

小玉参事官、岡野参事官 (出入国在留管理庁) 福原審議官、本針政策課長、永田政策調整室長、藤谷調整官 (厚生労働省)   原口審議官、吉田外国人雇用対策課長、川口参事官(海外人材育成担当) (外国人技能実習機構)   大谷理事長 

 

 

 

議事内容

 

○ 出入国在留管理庁本針政策課長より、【資料1】に基づき、「ヒアリング結果」について報告。

 

○ 出入国在留管理庁本針政策課長より、【資料2-1】及び【資料2-2】に基づき、「中間報告書(たたき台)」について説明。

 

○ 各有識者より、中間報告書のたたき台について、下記のような意見があった。 

 

 

 

【検討の大きな方向性/制度目的と実態を踏まえた制度の在り方について】

 

○ たたき台の「検討の大きな方向性」に記載されている「技能実習制度を廃止し、新たな制度の創設を検討すべき」という文言について、この段階で廃止という表現を冒頭に持ってくることの受入企業や実習生に与える影響を考える必要がある。

これまでの議論は、廃止というよりもむしろ、制度を抜本的に見直して、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度に移行し、なおかつ、外国人材の人権確保にも十分配慮し検討を進めていく方向性ではないか。

 

○ 全体としては、これまで議論してきたことが網羅されていると思う。

技能実習制度の廃止という言葉が独り歩きすると現場に混乱を招くことを懸念している。人材育成機能を維持し、人材確保を目的に加え新たなものにするということをより強調させて、マスコミ等に説明していただきたい。

 

○ 技能実習制度の廃止について、これだけ制度目的と実態のかい離がある中で抜本的な改革は不可避である。

名前を残すことは旧来の立て付けが残るということにもなりかねず、過去の微修正の繰り返しと捉えられてはいけないため、ここはできるだけはっきりとした、その趣旨が伝わる表現にすべきである。

 

○ 技能実習制度を廃止して新たな制度を創設する、その中に目的として人材確保を挙げる、という大きな骨組みを明確にすることは非常に大事なメッセージであって、ここをまずきちんと固めることは大事。ただ廃止するのではなく、新しい制度に置き換えていくということが趣旨として伝わっていると思うので、この点は適切ではないか。

 

○ 人材育成の要素は、就労の結果であって目的ではないのではないか。

特に国際貢献という点については、フォローアップできている技能実習生の中でも帰国後、大体4分の1ぐらいしか技能実習と同種の仕事に就職していない、働いていないという状況であり、これを改善していく方向性や対策は特段ないので、国際貢献を並列的に上げるのはいかがなものか。

その上で、人材育成という要素については慎重に考えるべきである。

人材確保という基本的な使命と、重みの軽重をつけることも可能ではないか。

 

○ たたき台の概要について、検討の大きな方向性に技能実習制度のことしか書かれていないが、特定技能制度との連携を図ることが重要なポイントであるため、二つの制度の連携という部分はきちんと打ち出すべきではないか。

 

○ 目的が人材確保、人材育成と二つ並んでいるが、技能実習制度の人材育成の目的は非常に重要であり、当該目的は日本語能力を求める程度や、転籍の在り方と関連していくため、人材育成と人材確保の順番は逆にしていただきたい。

 

○ 全体的な方向性について異存はない。技能実習制度に替わる新たな制度の創設という案について賛同したい。

制度の抜本的な改革により悪質な事業者を淘汰、排除し、優良な事業者が存続する制度になることを期待したい。

 

○ 技能実習制度における企業単独型の仕組みを維持していただきたい。

企業単独型の不適切事例は極めて少なく、途上国に対する技能移転を進めつつ、日本企業の海外での人材育成を支援する仕組みとして、日本企業の競争力の強化にも貢献してきたところ。現行の制度が廃止される際にも同様の仕組みを何らかの形で維持していただきたい。

 

○ 制度目的として人材確保と人材育成の二つが並ぶことは当然だが、国際貢献という言葉を入れるかどうかについて、国際貢献はある意味では人材育成の結果と捉えてもいいと思うが、今後の送出国が更に所得の低い国に移っていくことまで考えると、当該国の労働力の育成という観点は、日本の人材確保の観点とともに必要となるので、国際貢献という観点を外さない方がいい。

 

○ 「技能実習制度を廃止し、新たな制度の創設」との記載については、「現行の両制度を残し、すみ分けを図ること」を従来から主張してきたため、受入れ難いものであるが、現行の技能実習の目的と実態のかい離が解消され、全体のスキームは基本的に維持しながら、非営利性の監理団体の存続と役割強化、厳格な運営と優良性の重視、入国前の日本語教育の重要性、転籍の制限を緩和した場合の費用負担の明確化、日本人の雇用が難しい地域の中小企業に外国人材が来ることができ、人材育成が確実に行われることが可能な方策が担保されるのであれば、この方向性に賛同するものの、それが担保されないのであれば賛同できない。

 

○ 労働者としての「人材確保」、技能を修得する「人材育成」と目的が変わることになるようであるが、まず技能を修得する「人材育成」があり、次の段階に転籍可能な「人材確保」があるのではないかと思うので、目的の順番は「人材育成及び人材確保」にしていただきたい。

 

○ 外国人との共生社会の実現という社会の在るべき姿を念頭に置いて、外国人の人権に配慮しつつ、両制度の在り方について検討を行っているわけであるから、今後の我が国の生産年齢人口の高齢化や国際労働市場での日本の状況なども触れた上で、この制度は将来の外国人との共生社会の始まりなのだと、将来に向けて制度をよくしていくという姿勢を発信していただきたい。

 

○ 技能実習には触れているが、特定技能の視点が欠けている。

概要及び本文に、特定技能制度の実態、課題の把握を行い、制度の在り方を含めて検討を行うことを明記していただきたい。

 

○ 新たな制度は、技能実習制度をベースにしていくものだと認識しているが、現状の技能実習制度における人材育成に関する課題を踏まえた見直しとなるよう、今後議論していく必要がある。

 

○ これまでの議論を踏まえ、全体としてバランスのとれた内容になっていると思う。

今回、単なる現行制度の存廃論にとどまらず、新たな制度として、新制度におけるスキル形成の重要性、必要性や国際労働市場の実態、構造を踏まえた上で、移住仲介機能の役割を正面から認めたものになっている点が非常に重要。

この部分に肉付けし、実質的なものとしていかなければ、中間報告書の価値も無に帰してしまう。

 

○ 廃止という言葉が独り歩きすることは非常に危険である。

この見直しにおいても市場とのコミュニケーションは非常に重要であるので、主要送出国に対する情報提供や日本国内の事業者、関係者に対してもしっかりと説明を行うことで、市場とのコミュニケーションをとり、ミスリードが起きないよう強く要請したい。

 

○ 基本的な考え方にはおおむね賛成。本文に「現行の技能実習制度を廃止する」と書かれており、現行制度の労働力の調整手段としては使わないという基本理念を変更することは、実質的には根本的な変更であるので、概要でも「現行の技能実習制度は廃止する」4  とするのが議論の結果の実質に即している。

 

○ 技能実習制度を変更して、人材確保を主たる目的とするということは、単純非熟練労働者の受入れを認めるということになり、従来の入管の方針の根本的な変更につながる。国民的なコンセンサスがあればいいが、そこまでの議論は予定されていない。

そこで、「現行の技能実習制度は、労働力の活用ではなく人材育成を通じた国際貢献を目的としていたが、」と本文中に従前の目的を書いた上で、そのような現行の制度は廃止するとすれば、より分かりやすくなる。

 

○ 「技能実習制度を廃止し、新たな制度の創設を検討」との表現については、「抜本的な見直しを検討」の方が正確ではないか。かつ、そう言えば十分、目指している検討の方向性が伝わるのではないか。

 

○ 人材確保を目的に入れること、入れる以上は廃止と記載することには賛成。ただ、現行の技能実習制度をベースにして制度を作り直していくということなので、具体的な制度検討の中で、看板を変えただけと言われないように、現状の問題点や課題を解決して、外国人労働者の人権を守りつつ、使用者にとっても使いやすく日本社会の将来に貢献できるような制度を考えていかなければならない。

 

○ 新しい制度には狭義と広義での2通りの意味があり、狭い意味では、現行の技能実習制度に替わって創設する制度のこと、広い意味では、その創設する制度と特定技能制度も含めた将来の日本の共生社会実現のためにふさわしい新しい制度全体のことの両方が存在しているのではないか。 

 

 

 

【外国人が成長しつつ、中長期的に活躍できる制度(キャリアパス)の構築について】

 

○ キャリアパスと職種の記載について、現時点では、技能実習、特定技能の対象職種をベースに検討を続けるとの記載にとどめるべきである。技能実習制度が中小企業の人材確保に役立っているという実態を踏まえて、人材確保を目的とする制度に移行していくという議論になっている。

現在、技能実習の対象ではあるが、特定技能の対象ではない職種もあり、中間報告書の段階でより狭い方に職種、分野を限定するような表現はすべきではない。

さらに、現在、技能実習や特定技能の対象職種になっていない職種も含めて、しっかりとニーズを把握し、追加の可能性を検討していく必要がある。

 

○ 日本に優秀な外国人材を受け入れて活躍してもらうためには、中長期的なキャリアパスを見通せる制度であることが必要である。

そのことは、日本側で受け入れる企業にとっても、いつまで雇用し続けられるかという点で非常に重要である。

技能実習の3年間、特定技能1号の5年間で帰国させるとなると、外国人本人のキャリアも続かず、受入れ側としても育った人材を手放すことになり、結局は人材の使い捨てになってしまう。

今後、日本内外の賃金水準格差が縮小する下で、人材の使い捨てを続けては制度の持続性が担保されない。こうした観点から、現制度でいえば、特定技能1号の後に更にキャリアを積むことができる特定技能2号の道を用意しておくことが重要である。現行の各分5  野についても2号の対象に追加することを検討していくべきではないか。

 

○ 技能実習にはあって特定技能にはない職種について、特定技能をなしとするのではなく、業界の事情に鑑みて必要があれば作っていくという趣旨には賛成である。

 

○ 技能実習、特定技能にかかわらず、今ある職種を新しい制度から特定技能2号までも含めて一致させていくのが適切ではないか。

 

○ 新たな制度及び特定技能制度における対象分野の拡大について、社会情勢やニーズを十分に踏まえた上で検討していただきたい。

 

○ 新たな制度の職種を特定技能の分野にそろえるということは、新たな制度が単に特定技能への人材確保を担うだけの制度になってしまう懸念がある。

人材育成を目的とするのであれば、外国人労働者のスキルアップをどう担保していくか検討が必要である。

人材育成と処遇向上はセットであり、処遇担保を今まで以上に厳格化していく必要がある。

 

○ 日系人を30年ほど受け入れてきたが、日本人とほぼ同じ権利を付与し、労働移動の自由もあり、いくらでも滞在できるという中にありながら、この30年、結果としてスキルレベルが向上したとはいえない。

市場に任せる、権利を付与すれば結果としてスキルがついてくるという議論は非常に楽観的過ぎる。

 

○ 対象職種が特定技能2号に含まれていることは、受入れ企業及び外国人双方に極めて大きなインセンティブとなり、極めて重要であるという点を追記すべきである。

さらに一歩踏み込んで、受入れ企業及び外国人双方のスキルアップに対するインセンティブとなるよう、同一企業において所定の期間内に一定の技能を修得した場合、特定技能2号への直接の移行が可能になるといった在留資格上のインセンティブを設けるべきというような明確なメッセージを出すべきではないか。

 

○ こうした見直しを経ることで、新制度及び特定技能制度を、スキルズモビリティーパートナーシップス(SMPs)として定義し直すことが可能となり、グローバルコンパクトをはじめとした様々な国際的なスタンダードにのっとったものとしていくことが期待される。

 

○ 将来的なキャリア設計を推進し、我が国で修得した技能を更に向上させるといった文言を入れてはどうか。

 

○ 現状の技能実習制度では非常に細かい作業になってしまっているので、これをどうやって見直していくかを考える必要があるが、業種ごとに幅広い業務設定ができるよう、業所管省庁の協力が必要であるならそれをやってもらえるよう提言することが大事ではないか。

また、業種の拡大も含め、職種や分野を合わせるときに、現状の検証を行い、その先で問題が起きないよう考えていかなければならない。 

 

 

 

【受入れ見込数の設定等の在り方について】

 

○ 「関係者の意見やエビデンスを踏まえつつ判断がされる仕組みとする」と記載されているが、職種の追加も含め、透明性確保の観点から、労使団体も含めて議論していくこ6  とが必要であり、その点を明記していただきたい。

現在の特定技能制度における受入れ見込み数等の決定プロセスは業所管省庁のハンドリングの要素が強いが、その適否は公の場で議論することが必要である。

 

○ 人手不足状況の対応だけでなく、国内労働市場への影響や悪影響を防ぐ点を記載し、人手不足だけの問題ではない旨を記載した方がよい。エビデンスとしても、産業、地域の雇用状況、労働市場の状況が加わると思う。 

 

 

 

【転籍の在り方について】

 

○ 転籍制限について、人材確保を制度目的とするのであれば労働者性を認めざるを得ず、転籍制限の一定の緩和は必要だが、本文や概要を見てもこの経緯が読み取りにくい。

労働者性を認めることが転籍制限緩和につながることを分かりやすく書く必要がある。また、外国人保護の観点からも、国際的に求められる水準に照らして見直しをするという方向性がある程度わかる記述をしていただく必要がある。

 

○ 人材確保に主眼を置いた制度だとすれば、転籍制限をなくすべきである。

もし人材育成を一定程度考えるというのであれば、人権や外国人の保護の観点から、転籍制限の必要な養成期間、育成期間とはどれくらいなのかをきちんと吟味するべきであり、書きぶりとしても、転籍制限が外国人材の権利保護に与える影響という点も、転籍の在り方の考慮要素として加えるべきではないか。

 

○ 受け入れる企業のコストの問題の指摘があるが、受入れ企業が負担する来日時のコストだけではなく、育成をするプロセスにおいて相当なコストが発生し、コストを一生懸命かけたのに賃金が高いところに転籍されてしまうという不合理な問題があると思うので、来日時のコストだけではなく、育成のコストというニュアンスも入れていただきたい。

 

○ 短いスパンでの転籍となると技術の修得には結びつかないと思うが、昨今の問題となっている労働環境を起因とする失踪等や人権的な面を考慮すると、転籍を認めていく方向での検討が必要である。

 

○ 現行よりも転籍の要件を柔軟化すること自体は、人権保護の観点から異議はないが、特定技能のように転職の自由を認めてしまうと、職場への定着が困難となり人材育成に影響を及ぼすため、付与される在留資格の中で1回のみ、それも同じ業種のみとすべきである。

 

○ 転籍は、単に賃金面での条件向上を目指す場合は認めるべきでなく、職場環境になじめないなど、賃金以外の理由の場合にのみ認めるべきである。その際には、転籍先の企業と育成してきた企業との間の費用負担について取決めを行う必要がある。

 

○ 新制度が仮に5年の制度だとして、最初の3年は「人材育成期間」として制限をかけ、後半2年は「人材確保期間」として同一業者にとどまるか、あるいは同業であれば他の業者に移ることも考えられる。 

 

 ○ 転籍制限を一定程度緩和するという方向性はある程度合意形成されてきているが、実際にパワハラなどの案件が発生した際に、優良な企業に適正かつ速やかに転籍できているのかという課題が今も存在し、これを解消しなければ実効性における課題は残るのではないか。

実効性確保の点で、現在の実習先変更支援の検証、課題の把握について、特定技能を含めて引き続き検討する必要があることは記載すべきである。

 

○ 転籍制限を改めれば全て人権問題が解決するかのようにも読めるが、ある程度の転籍制限は契約上も認められるわけであるから、それだけの問題ではない。

例えば人権侵害等の法令違反に対する政府の取組を一層強化するとか、外国人が権利行使をしやすくする、法令の周知や契約上の権利の明確化など、救済がより実現できるようにする取組を進めることと、転籍制限の緩和があいまって初めて人権が守られるのではないか。

 

○ 人権侵害防止の関連で、「外国人が声を上げることのできる制度」は非常に重要な検討課題である。現行の関連制度の検証も含め、検討課題としていることが読めるような工夫をしていただきたい。

 

○ 転籍が実質的に使えないものになると、看板を変えただけだと言われかねない。受入れ企業のコストもそうだが、労働問題があった場合にどうやってスムーズに救済するか、労働問題がなかった場合にどのくらいで転籍を認めていくかという点について議論が必要である。 

 

 

 

【監理団体や登録支援機関の監理及び支援の在り方について】

 

○ 管理監督、支援の在り方について、本文に書かれている内容に異論はない。できれば概要にも監理団体等について、要件の厳格化と併せて、優良な監理団体等へのインセンティブの付与や所管省庁と業界団体の役割についても書くのがよいのではないか。

 

○ 監理団体の機能として、国際的なマッチング機能も含めて必要不可欠という書き方になっているが、監理団体が全て又は一部のマッチングに必ず入ってくることはマストではないのではないか。特定技能制度では、現時点ではそうなっておらず、いろいろなマッチング方法があり得るので、中間取りまとめの段階で必要不可欠といってしまうと、今後の議論が縛られてしまうのではないか。

 

○ 特定技能制度についてはあまり見直しがなされないように見える。

登録支援機関については、運営実績が見えない個人や法人の事業者、職業紹介しか行わない事業者、事務手続の代行のみしか行えない事業者など不安定要素が多いことも事実である。

技能実習生の人権、借金などの問題がある中で、手数料に上限がないことや支援10項目を行えないような機関が登録されていることなどの問題について、解決のための具体的な方策が明確に出ておらず大きな違和感を覚える。

 

○ 制度の目的として人材確保の面を入れるということは、現行の技能実習制度が副次的に機能してきた地方の中小企業における人材確保の実効性を従来以上に高めていく必要がある。そのためにも地方の監理団体への支援策などを講じる必要もあるのではないか。 

 

 

 

【国の関与や外国人技能実習機構の在り方について】

 

○ 業界特有の事情を踏まえた適切な対応が必要という点については異論ないが、それにより各分野において受入れ機関の費用負担が分野ごとに異なり、過大な負担をしなければいけない分野が出てくると、受入れ機関において過大な負担になってしまう。

これを避け、全体的な調整を図るという必要性も指摘すべきではないか。

 

○ 技能実習生の対応を監理団体だけに任せるのではなく、企業でも日本語教育について応分の負担をしてもらうとともに、企業内での実習受入れについて外部から必要な指導を受けられること、そして、そのことに対する財政的な支援や補助があれば、中小企業における技能実習の水準を上げることができるのではないか。そのためには、関係省庁にも関わってもらい、支援を求めていくべきではないか。

 

○「イ 国の関与や外国人技能実習機構の在り方」の三つ目に「業界特有の事情」や「業界を所管する省庁」とあるが、業界だけではなく、地域の中小企業への人材育成と人材確保を明記していただき、さらに、新しい制度でどのような人材育成を実施するのだということを明確に示していただきたい。

地域の中小企業の活用と技能の修得、そして地域の中小企業の労働力、という段階的に配慮した新しい制度にしていただきたい。

 

○ 業所管省庁や業界団体だけで決定していく仕組みは透明性に欠けるため、様々なステークホルダーが参画する、開かれた会議体で定期的に確認をしていくことが必要である。

また、産業政策という視点も含めた検討が必要であることも明記いただきたい。

 

○ 事業者が外国人材を安定に確保できる制度としていくことが重要である。

その一方で、外国人自身が一定の技能を身につけた上での転籍でなければ、産業や地域のためにもならないことから、人材育成や人材確保のみならず、産業振興や地域振興の観点からも関係省庁による各種支援策などの取組や負担も必要である。

 

○ 業界ごとに各省庁の対応にかなりばらつきがある感じがするため、各省庁間の連絡調整を促進するような内容を入れてはどうか。 

 

 

 

【国際労働市場の実態及びメカニズムを踏まえた送出機関や送出しの在り方について】

 

○ 国際的な動きを見ると、恐らく特定技能も移住仲介機能の役割を正面から認める方向になっていくのではないか。

これまでの様々な国の経験に基づけば、もちろん、一定のエラーは起きるにせよ、移住仲介機能の役割を正面から認めた方が、個人のブローカーを含め、ライセンスを持たない有象無象の仲介者が入ってくるよりはるかにいいとされている。

今回のたたき台でもこの移住仲介機能の役割をきちんと認めたものとなっている点は強調したい。

 

○ 今般の制度改正の成否の鍵の一つは、送出し段階を如何に適正化し充実させることが9  できるかにあり、送出機関が担うべき機能や能力の充実強化が非常に重要である。

国内の監理団体等と連携を取りながら中身の濃いマッチングを仲介できる体制や能力を備えているかがポイントになる。

送出し国政府の管轄下にあるため限界はあるが、二国間協定等を通じてどういった方策が取り得るのかが検討課題である。 

 

 

 

【外国人の日本語能力向上に向けた取組について】

 

○ 来日後の日本語教育に掛かる費用は、基本的に受入れ機関の負担にするという点について、これは外国人側ではなく受入れ機関が負担するという意味合いか、あるいは国や自治体ではなく受入れ機関が負担するという趣旨なのかを明らかにした方がよい。

後者であるならば、国や自治体も一体程度、日本語教育に対する役割を果たすべきであるため、書きぶりを変えた方がよい。

また、来日前の日本語教育について、入国までのコストを減らすため、国や他の公的機関による教材の開発や配布などの支援を制度化することも検討する旨を入れたらどうか。

 

○ 滞在期間が長くなり、家族も滞在するようになれば、更なる生活面でのサポートが必要になる。

日本語教室を運営するボランティア数の減少が喫緊の課題となっており、外国人本人にとっても就労の合間に日本語教室に通うことは大変難しいと思う。

職場において日本語を学ぶ場を設ければ、場所を移動することなく職場の仲間とともに学ぶことができ、学習の継続が図られるのではないか。

また、家族の滞在に伴い、子供の教育にも影響が出てくるため、今後は、指導者、通訳、指導助手、支援員等の更なる増員や多言語対応が求められる。

外国人が生活する自治体への財政的支援、企業における日本語教育についての言及についても検討していただきたい。

 

○ 国の支援や自治体の支援あるいは、国の支援を通じた自治体の支援なのかもしれないが、明示的に書くべきである。

 

○ 日本語の能力向上に向けた取組について、監理団体のみがやるとなると負担感が感じられるため、公的な支援などの文言を入れていただきたい。

 

○ 日本語能力は、生命、健康にも直結するものでもあるため非常に重要である。

支援の情報にたどり着けないような実態もあるため、監理団体や企業、自治体も含めた支援、協力について明記する必要がある。 

 

 

 

【その他】

 

○ 家族帯同の問題が検討の方向性に全く出てきていないので、今後の検討課題でもいいが、家族をどうするのか、どこかに入れておく必要があるのではないか。

 

○ 今回の見直しの要諦は、日本を含むアジアの健全かつ効率的な国際労働市場をいかに構築するかということではないか。

外国人の人権保護も、この大きな視点の中でこそ初めて十分に守られると思うので、この点を踏まえつつ今後の議論もスピード感をもって進めていくべきである。

 

 ○ 今後何十年を考え、日本が外国人も含めどのような社会になっていくのか、有能な人材を育成し、キャリアアップもして、日本社会に溶け込んで一緒に日本社会を作っていく、という前向きなメッセージを初めか最後のどちらかで出した方がよいのではないか。

 

○ 地方の中小企業が必要な外国人材を確保しづらい現状があり、そういった問題の解消も本会議の重要な検討課題と認識しているが、それが「検討の方向性」のどこで読めるのか判然としない。

地方と都市圏の就労条件、生活環境等の格差是正が検討課題であることを読めるようにしていただきたい。

 

○ 新しい制度の下でも必ず制度から逸脱する外国人材が一定割合出てくる。そういった外国人材の法的な位置付けあるいは取扱いについて、検討課題として読めるようにするべきではないか。

新しい制度下でも、不正規に転籍・転職をした外国人材を簡単に非正規な存在に追いやってしまってよいのか、取締り対象としてよいのかについては、運用の在り方も含めて慎重に検討すべきである